この香りがクセになる!タイの発酵食材「プララー」の魅力

タイ料理

タイ料理の調味料といえば、ナンプラーを思い浮かべる方も多いでしょう。けれど、タイの郷土料理には、もう一つ知っておきたい発酵食材があります。それが「プララー(ปลาร้า)」です。

独特の香りと豊かな旨みを持つプララーは、特にタイ東北部のイサーン地方で親しまれています。今回は、その歴史や代表的な料理、日本での買い方をご紹介します。

プララーとは?

プララーは、淡水魚を塩や米ぬか、炒った米の粉などと一緒に発酵させた食材です。使う魚や製法によって、香りや味わいにも違いがあります。

特徴は、発酵による独特の香りと、しっかりとした塩味、濃厚な旨み。料理に少量加えることで、味にコクが生まれます。

イメージしにくい方は、アンチョビを思い浮かべてみてください。味や香りは異なりますが、少量で料理に塩味と旨みを加えるという点では、似た役割を持っています。

日本の味噌や納豆のように、初めは香りに驚いても、食べるうちにその魅力を感じる方もいるでしょう。

魚を保存する暮らしの知恵

プララーは、魚を長く保存するための知恵と結びついています。冷蔵庫のない時代、魚を塩漬けにして発酵させることは、食材を無駄にせず、日々の食事に生かす方法の一つでした。

魚を発酵させる文化はタイだけでなく、周辺の国々にも見られます。そのため、正確な発祥の年代や場所を一つに特定することは難しいとされています。

タイでは、アユタヤ時代の暮らしを記した文献にも、魚を発酵させる習慣が登場します。1687年にシャム(現在のタイ)を訪れたフランスの外交官ラ・ルベールも、壺で魚を発酵させる様子を書き残しています。

保存のための工夫から生まれたプララーは、今もタイの食卓に欠かせない存在です。

プララーはどんな料理に使う?

プララーは、汁物や煮込み料理、ディップ、サラダなど、幅広い料理に使われます。代表的な料理を見てみましょう。

ゲーン(汁物・煮込み料理)

タイの「ゲーン」には、ココナッツミルクを使ったカレーだけでなく、肉やハーブ、野菜を煮込み、プララーで味付けする汁物もあります。プララーを使う代表例には、次のような料理があります。

  • ゲーン・オム(แกงอ่อม):肉や野菜、ディルなどのハーブを使ったイサーン地方の煮込み料理。ハーブの爽やかな香りに、プララーのコクが重なります。
  • ゲーン・ノーマイ(แกงหน่อไม้):たけのこを使ったイサーン風の汁物。ヤーナーンという植物の葉から搾った汁を加えるのが特徴で、たけのこの食感と素朴な味わいを楽しめます。

ナムプリック(唐辛子を使ったディップ)

野菜やご飯に添えて食べる、タイの食卓でおなじみの料理です。プララーを使ったものにも、さまざまな種類があります。

  • ナムプリック・プララー(น้ำพริกปลาร้า):さまざまな作り方がありますが、例えば、焼いた唐辛子やエシャロット、にんにくをつぶし、加熱したプララーの汁を加えるタイプがあります。汁気があり、野菜につけて香ばしさと旨みを楽しめます。
  • プララー・ボン(ปลาร้าบอง):プララーの身を細かく刻み、唐辛子やガランガル、レモングラスなどを合わせた、濃厚なペースト状の料理です。魚の身の食感とハーブの香りが特徴で、もち米や野菜とよく合います。

材料や仕上がりは地域や家庭によって異なりますが、ここで紹介したタイプでは、ナムプリック・プララーは汁を生かしたディップ、プララー・ボンは魚の身を生かしたペーストと捉えると、違いが分かりやすいでしょう。

ソムタム(青パパイヤなどを使ったサラダ)

プララーを加えたソムタムは、唐辛子の辛さやライムの酸味に、発酵ならではの風味が重なるのが特徴です。シャキシャキとした青パパイヤとの組み合わせも魅力の一つ。青パパイヤの代わりに、きゅうりや長いんげんなどを使うこともあります。

ただし、すべてのソムタムにプララーが入っているわけではありません。プララーを加えるかどうかは、ソムタムの種類や好みによって異なります。

ヤム(タイ風の和え物・サラダ)

肉や魚介、野菜などを、唐辛子やライムを使ったたれで和える料理です。プララーを加えるタイプもあり、酸味と辛さにコクが加わった、味わい深い一皿になります。

日本でも手に入れられる

日本では、タイ食材を扱うアジア食材店などで購入できます。

魚の身が入った瓶詰めのプララーや、液状の「ナムプララー」などがあるので、作りたい料理に合わせて選んでみてください。ソムタムやヤムの味付けには、ボトル入りのナムプララーが使いやすいでしょう。

取り扱いは店舗によって異なります。購入時には、加熱が必要かどうかや保存方法を確認し、商品の表示に従って使いましょう。

プララーを知ると、タイ料理がもっと楽しくなる

独特の香りが気になる方も、まずは料理の中でその味わいに触れてみませんか。

初めてなら、プララー入りのソムタムやゲーン・オムなど、プララーを使った料理から試してみるのもおすすめです。香りだけでなく、ほかの食材と合わさることで生まれるおいしさにも気づけるかもしれません。

タイの暮らしから生まれた発酵食材「プララー」。その存在を知ると、いつものタイ料理にも新たな発見がありそうです。

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